突然ですがMBDって何の略でしょうか?
Model Base Development(モデルベース開発)
ですが、人によっては
Model Base Design(モデルベース設計)
という人もいます。
この言葉がはやり始めた10年近く前は
割と後者使う人も多かったのですが今はほとんど
Model Base Development(モデルベース開発)
です。
JMAABとかで定義されたのかもしれませんが・・・
基本的な意味は同様です。言いたいことはあるけど省略します。
で、もうひとつMBDってありますがこれは
Multi Body Dynaics(マルチボディダイナミクス)
です。
これはモデルベース開発/設計とは全く異なりますが、
モデルベース開発で使うモデルを扱うときに重要になる
コアな技術です。
おおざっぱにいえば前回で説明した
・機構学
の考え方です。
例えばリンク機構や自動車のサスペンションで、
複数の剛体要素の運動を考えるものです。
・機構学
では、通常物体の軌跡などの幾何学的な部分や
静的なつり合いを考えるもので、どの本でもおそらく
ダイナミクスについて書かれているものは無いことが多いと思います。
その機構のダイナミクスを扱うのがマルチボディダイナミクスです。
ですから
・静的→機構学
・動的→Multi Body Dynamics(マルチボディダイナミクス)
と考えれば良いでしょう。
それと合わせて、マルチボディダイナミクスもモデルベース開発も
コンピュータによる解析技術の発達に伴い出来上がった分野
といえます。
マルチボディダイナミクスでは
剛体力学、機構学、座標変換、コンピュータ
この辺りが主要なキーワードです。
で、モデリング講座で遊星歯車を選んだ理由ですが、
遊星歯車に関しては
・マルチボディダイナミクスでも扱ってるあまり書籍がない
・機構学の本では遊星歯車の記載があってもダイナミクスが書いていない
・剛体力学とマルチボディダイナミクスの中間的な発想
・面倒な座標変換を省略できる
・自動車のATにおいてのコア技術
ってことで、比較的学びやすく役立ちそうなので選びました。
過去に教材としてまとめたことがありますが、
諸事情によりオープンできない内容があるので
今回新規にまとめてみます。
ちなみに、過去にダイナミクスの教材として作ったときは
遊星歯車に詳しくなかったので必死こいてネット検索しました。
その当時はネットでの検索に引っかかってくるものは、
静的なつり合い式が数件ヒットするくらいでした。
この講座を始めるに際してネットで検索したら
意外と遊星歯車のダイナミクスに関する記事がヒットしました。
記載した年を見ると、どうも私がまとめたよりも後みたいなので
当然、その当時にはなかったのも納得です。
どうやら矢田博士の資料が元になってるようです。
古いものだと1970年より前で、新しいものだと1998年みたいです。
ちなみに、ラグランジュの運動方程式を使った遊星歯車の
運動方程式が導出されています。
これが一番間違いが少なく、システマティックに解けると思います。
ですが!
このモデリング講座で扱う方法は
静的なつり合い方程式を拡張した方法を紹介します。
インチキっぽくもみえますが、すごく簡単で結果はラグランジュの運動方程式
と一致しますのでご安心ください。
遊星歯車は不思議な動きをしますが、サスペンションのように3次元的な
動きを考慮しなくていいのと、若干複雑ですがMATLABの応用を考えたときに
SymbolicMathツールボックスのよく使うであろう使い方も紹介できるってことから
モデリング講座で遊星歯車を扱う理由としました。