MATLABでトランジスタAM回路

MATLABでトランジスタAM回路

前回からの続きです。
イメージが簡単なんでトランジスタのベース変調方式を
用いたAM変調回路を記述してますね。
MATLABで簡単に表現したいと思います。

トランジスタの入力回路

まず、トランジスタのベース(入力)側には搬送波と信号波がLC回路
により、その電流が加算されます。

MATLAB AM基本波形

一番上が搬送波(500Hz)
真ん中が信号波(65HZ)
一番下が搬送波+信号波
です。
MATLABのプログラムはここではMATLABオプション使いません。
あとで記述します。

で、一番下の周波数スペクトルを観察します。
AM基本スペクトル

500Hzの搬送波と65Hzの信号波を加算しただけなので当然ですがこれらのスペクトルしか出てきません。
このグラフもMATLABのFFT使ったので他のオプションは不要です。

トランジスタの静特性とB級動作

グラフ描くのが面倒なので省略します。
トランジスタの静特性としてはベース電流が増幅されて、コレクタに流れます。

で、トランジスタの動作点としてA級~D級までありますが、
A級はいわゆるリニアアンプというやつです。
C級はスイッチング回路というやつです。

B級はその間の特性って考えれば良いのですが、わかりやすく言えば
プラスマイナス入力の正弦波を正の半波だけ出力するものです。

特性はほとんど半波に関して言えばリニアです。
オーディオやRFなどリニアリティを必要とするアンプではA級動作では常に
無駄な電流を流しておかなければならないので、効率よくリニアに動作させるため
B級動作する回路を正の半波、負の半波くっつけたB級プッシュプルというのが良く使われます。
今回は使いません。

でB級でゲイン100のアンプを通すとこんな感じです。
MATLAB B級動作
ゲイン100ってあまり現実的でないですがとりあえずです。

で、見にくいですが正の半波だけリニアに増幅され、負の半波は0になっています。
このスペクトルをMATLABでFFTしたもので見てみます。

MATLAB 半波FFT

ということで、これすごくないですか?
なんと加算したものを半波にしただけで、スペクトルとしては
65Hz、500Hzのほかに435Hz、565Hzが出力されています。

昔はなんで、加算したものが乗算されるのか不思議に思っていましたが、
MATLABでスペクトル解析するとわかりやすいですね。

細かい理屈はさておき、半波にしただけで自動的に周波数成分が
乗算されてしまいました。

その変わり、特に2次高調波成分として1000Hzも混ざっているようです。
1000Hz付近にある二つのピークは435Hz、565Hzの2次成分である
870Hz、1130Hzでこちらも高調波として出力されています。

もしフィルターで高調波成分を取り出したら音声も逓倍されてるので
ヘリウムガス吸ったみたいな音声になるのかな?
機会があったら試してみますね。

共振回路によるフィルタリング

通常、トランジスタで高周波回路作ったら
出力側に共振回路をつけるのは一般的です。

特にパワーアンプの場合については高調波成分がさまざまな
後身悪影響をおよぼすので電波の質を保つ必要があるためです。

ただ、申し訳ないですがここから先はMATLABの
ControlSystemToolBoxというオプションツール使います。

これを使った方が楽そうなので使ってみました。
オプションツール?と言っていいかわかりませんが、
Simulink使えばMATLABのControlSystemToolBoxは不要です。
今回はSimulink使ったやつはやりません。

で、共振回路ですがLCの並列共振回路、バンドパスフィルターを使います。
あとコンデンサによるローカットフィルタ(カップリンコンデンサ)をくっつけました。
ここでもMATLABプログラムはあとで掲載します。
MATLABトランジスタ

フィルタの特性からしてちょっと立ち上がりが悪いみたいですが、
こうすることにより見事トランジスタによるAM変調回路が再現できました。
MATLAB AMスペクトル
ちなみに、共振点は500Hzに持ってきてバンド幅はどうでしょう?
変調度がかなり低いのでかなり尖鋭度が高いのでLCRのR大きくしてチューニングした方がよさそうですね。

MATLAB Q低いAM
Rを大きくした例です。
フィルターのQが低いために、バンド幅が広がったのですが
その帯域が2次や3次の高調波成分にまで及ぶのでこの方式はアウトですね。

ですから、一般的には電波の質を保つために共振回路をつかい、
さらにハイパスフィルター使ってひずみの少ない波形を作ります。

ちなみに、ここで使ったパラメータはイメージしやすいように適当な値を用いました。
ですから、ゲインとかかなり適当です。

ただ、書籍とか見るとAM変調って周波数の乗算ってよく書いてありますが、
しかしトランジスタ回路の説明を見ると搬送波と変調波を加えると
出力側で乗算されたAM波が現れるって書いてあります。

結構、強引ですね。
半波出力が重要ってことが書いてない書籍もあると思う。
無理やり学生時代はなったくしたけれども、電子回路とは違った
MATLAB使ったシミュレーションとか周波数解析使った
アプローチからAM変調回路を評価するのも面白いかもです。

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